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父の友エッセイ―[3]
福音館書店から発行されているお母さん向けの月刊誌
『母の友』に短期連載したエッセイの第3回です。
父の友エッセイ―[3]_f0118538_14573382.jpg
今回のテーマは「かるた」。
といっても、先日からご紹介しているわが家オリジナルの自作かるたではありません。
さて、どんなかるたでパパとロカちゃんは遊んでいるのでしょうか?
お楽しみください。



父の友エッセイ―[3]_f0118538_23544518.gif

父の友エッセイ―[3]

わが家流かるた遊び

岩井俊雄 

 お正月の遊びと言えば「かるた」です。
 僕には三人姉がいるので、子供の頃、お正月になると実家の居間で、四人でわいわい、かるたや百人一首をやりました。懐かしい思い出です。今は、かるたはどのくらい遊ばれているのでしょう? 昔と違って兄弟の数も少ないし、他の刺激的な遊びや楽しみがたくさんあるので、きっと地味なかるたよりテレビゲームなどに軍配が上がるのでしょう。
 でも、実は今、僕とロカちゃんの間ではお正月に関係なく、かるたが大人気です。なぜだかわかりますか? その秘密をこっそりお教えしましょう。
 わが家のかるた。それは特別なものでもなんでもありません。というか、僕としてはかなり恥ずかしい、よりによって、ディズニーのプリンセスのかるたです。ロカちゃん本人はすごく気に入っているのですが、僕ははっきり言ってノー。もともとのディズニー映画、「白雪姫」や「シンデレラ」「眠れる森の美女」などは素晴らしく、僕も大好きですが、主人公のお姫様たちだけを並べて「プリンセスシリーズ」としてグッズ化しているのはいかがなものか? と思います。でも、僕の思いとは真逆で、小さな女の子たちには、強烈なピンクでまとめたきらびやかな世界が魅力的らしく、ロカちゃんもプリンセスシリーズにメロメロになってしまいました。
 普段、わが家ではこうした、いかにも売らんかな、といったキャラクターグッズを買わないようにしているのですが、ロカちゃんは欲しくて欲しくてたまりません。そして内緒でママの姉であるおばちゃんに買ってもらったのが、プリンセスのかるただったのでした。僕がついていたら、なんとしても阻止したのですが、時遅し。まあ、そうまでして欲しかったのなら仕方がありません。思い起こせば、僕も子供の頃に大事にしていたのは手塚治虫さんの「マグマ大使」のかるたでした。ロカちゃんのこと、あまり言えないのです。
 とにかく、そんなわけで、僕とロカちゃんの前には、ピンクのプリンセスかるたが並んでいます。ロカちゃんは「パパ、かるたやろう!」と目をキラキラ。困りました。
 そもそもふたりきりで遊ぶかるたは盛り上がりません。こちらは読み札を読みながら、さらに見つける相手もやるのです。すでにこの時点でかるたというゲームが成り立っていません。さらに子どもに対して手加減しながらの遊びは、大人はあまり面白くないものです。ひとしきり何度かかるたを取り合い、適度にロカちゃんを勝たせたりするうちに、こちらはあくびがでてきました。それでも、ロカちゃんは遊び足りず、もっとやろう、パパ! とやめようとしません。目の前のプリンセスたちが、さらに憎く思えてきました。
 かるたの絵札には、6人のディズニーのお姫様の絵が一人ずつ描いてあるのですが、それを見ているうちに、ふと思いついたことがあり、ロカちゃんに提案してみました。
 「ねえねえロカちゃん、このかるたで別な遊びをしてみない?」「別な遊び」という言葉にロカちゃんも「なーに?」と乗ってきました。「6人のお姫様に、あだ名をつけるんだ。で、カードをめくって出てきたお姫様のあだ名を、間違えずに先に言ったほうが、カードをもらえる」「おもしろそう! じゃ、あだ名は何にする?」「そうだね…プ、リ、ン、セ、スの字から始まる名前とか…あ、6人だからプ、リ、ン、セ、ス、よ、にしようか。例えば、白雪姫は…プ、から始まる名前…プーさん、とか?」「あははは、じゃアリエルは、リスさん、ね」「シンデレラは…ンーチ?」「オーロラ姫は、セノービ!」。
 お姫様たちには失礼ながら、「美女と野獣」のベルは「スーザン」、「アラジン」のジャスミン姫は「ヨーチ」に決まりました。そして、絵札を裏返して積んでおいて、カードを一枚めくるたびに、絵を見てあだ名を言い合うのです。始めてみると、最初はどうしても元の名前が先に浮かんでしまい、なかなか言えません。一生懸命ふたりであだ名を思い出しながら「セノービ!」とか「ンーチ!」とか言っていると吹き出してしまいます。そのうち、慣れてきてふたりとも速く言えるようになると、おかしいことに、だんだんあだ名がしっくり感じてきました。笑いながら何度も遊びました。
 次に思いついたのは、二つのひらがなを組み合わせて言葉を作るゲームです。絵札をよく混ぜて、十枚ずつ配ります。そして、残りを裏返しに積んでおいて、一枚ずつめくって出た文字と、自分の持ち札の字を組み合わせて、ひらがな二文字の言葉を作るのを競います。例えば「あ」が出て、自分が「り」を持っていたら、すぐにカードを出して「あり!」と叫びます。こうして自分の持ち札十枚全部が先になくなったほうが勝ちです。これもすごく盛り上がりました。たった二文字ですが、子どものボキャブラリーに合わせた言葉を選ぼうとすると、こちらも結構考えさせられます。ただ競うだけでなく、お互いのカードが見えるように並べておいて、助け合うのも楽しいのです。
 他にも、絵札を三枚めくって、出てきた文字を使って簡単な文章を作る、という遊びもやってみました。例えば「ろ」「ま」「お」だったら「ろかちゃんは、ままと、おでかけしました」といった文章をパッと作ります。ちょうど文字や言葉にとても興味のある年頃のロカちゃんには、こうした言葉遊びはすごく楽しいらしく、こちらも乗っていろいろな遊び方を考えるうち、わが家では、かるたがだんだん違ったものになってきました。
 先日もロカちゃんが一人でお隣のご夫婦の家に遊びに行った時、さっそくわが家流のかるた遊びをやったようで、あとでお隣の奥さんから「ロカちゃんが遊び方を教えてくれたんです、面白いですね!」とほめられました。僕としては内心、してやったりです。
 そんなわけで、わが家のかるたはお正月だけでなく、一年中遊ばれているのです。実は、プリンセスのかるたでよかったのかな、と思うこのごろです。

初出◆福音館書店 月刊「母の友」 2007年1月号
父の友エッセイ―[3]_f0118538_072366.gif
注:「母の友」誌上では、佐藤直行さんという方が素敵な挿絵をつけて
くださいましたが、著作権の関係上ここでは文章のみ転載しています。

by iwaisanchi | 2007-02-16 09:04 | ◆岩井パパのエッセイ
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